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東洋交通労働組合

TEL. 03-5970-9304

〒115-0051 東京都北区浮間5-4-51

執行委員長挨拶/2025運動方針                                GREETINGS

菊池執行委員長メッセージ

 

「プロにしかできない輸送の提供で使命を果たし、タクシー産業を魅力ある産業へ成長させよう!」
 組合員のみなさまにおかれましては、日々の乗務において安全運行と品質向上を心掛けながら、公共交通機関の一翼を担いご奮闘、ご活躍のことと拝察し、心より敬意を表します。重ねて、組合活動へのご理解、ご協力に感謝いたします。
 2024年は元日に能登半島地震、翌日2日には旅客機と被災地に向かう海上保安庁の航空機による衝突がおこるなど痛ましい年初となりました。被害に遭われた方に心よりのお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。既に被災した全自交労連の仲間には、東洋交通労働組合としての支援を実施しておりますが、今後も必要に応じて支援活動を継続してまいりますので、引き続きご理解とご協力をお願いいたします。
 タクシー業界においては、懸念していた乗り控えも起こらず運賃改定から間もなく2年が経過しようとしています。2024年7月の東京特別区・武三地区における原価計算対象事業者の輸送実績によると、実働11車あたり営業収入は前年0.2%増の65,210(税込)6ヶ月連続の6万円超え(東洋では税込70,400円)でコロナ禍前の同月比では29.5%増となり、タクシー乗務員の賃金はV字回復を示しています。稼働人員数も順調に回復傾向にあり27ヶ月ぶりに実働率7割台に到達するなど明るい兆しも見えてきました。 また、タクシーの稼働力不足を補うために4月から運用されております道路運送法783号に基づく「自家用車活用事業」いわゆる「NRS=日本型ライドシェア」は、タクシー会社が雇用と運行管理責任を負う形で実施されておりますが、タクシー労働者の賃金・労働条件に影響は出ておらず、既存のタクシーが行ったシフト変更等の努力もあり一定の輸送実績を示せたことで「ライドシェア新法」の法制化は、期限なしの先送りとなり一旦押し戻す結果となりました。しかしライドシェア新法推進派は、今後も新法導入に向け勢いを増すことが予想されます。NRSはあくまでもタクシー不足を補う為の事業であり、タクシー労働者の賃金労働条件を悪化させ、公共交通である安全性を脅かし、何よりもプロとして公共交通を日夜支えるタクシー乗務員の誇りを踏みにじるものであってはならないと考えます。「ライドシェア新法導入断固反対」の姿勢で運動を強化してまいります。ご協力頂いているみなさまには感謝申し上げるとともに、引き続きのご理解とご協力をお願いいたします。
 
 2024春闘では、連合の平均で5.17%の賃上げが実現し33年ぶりの高水準となりましたが、物価の影響を考慮した労働者1人あたりの「実質賃金」はリーマンショック期の23ヶ月連続を上回る26ヶ月連続マイナスを記録し、賃上げが物価上昇に追いついていない事実を明白に示しています。一方、歩合給主体のタクシー乗務員の賃金は、値上げや稼働要員不足の影響で台あたり営収が増加となり、実質賃金は増えているものの「組み替えなしの賃上げ」は実現できていません。各労組の奮闘により「一時金支給・労働条件改善」等、一定の成果は勝ち取っているものの、回復しきれないコロナ禍で受けたダメージと物価高騰による経費負担増の影響は、新たな雇用と人材の定着に不可欠な「魅力ある産業への投資」を躊躇させ、大きな改善を阻んでいるのが現状です。
 我々がまず取り組むべき課題は、エッセンシャルワーカーとして使命を果たす乗務員が安心して安定的に暮らせる「労働に見合う賃金・労働条件」を実現することです。
 タクシー業界が「魅力ある産業」へと成長する為には、タクシー業界に従事するすべての者が、それぞれの役割に尽力することが絶対条件です。公共交通従事者としての責務と労働者としての義務を果たし、タクシー乗務員の賃金・労働条件改善と、社会的地位向上を目指しともに闘いましょう!


「ライドシェア新法」を目指す解禁(推進)派の動き
 2023年秋以降、メンバーをライドシェア解禁論者で固めた「規制改革会議・地域産業活性化ワーキンググループ」では、「移動困難の解消」という公益性を装いつつ、国土交通省やハイタク事業者の正当な意見を否定し、「ライドシェア解禁」のための下地を作りあげていく醜悪な光景を繰り返しました。さらに、労働者に対しては意見を聞く機会さえ、一度も設けられぬままです。
 この議論と同時並行して自民党の中で、菅前首相・河野デジタル・規制改革担当大臣・小泉進次郎氏・茂木幹事長といった一部有力議員が、ライドシェア解禁せよとの主張をし、これに日本維新の会の議員や吉村大阪府知事も同調。「ライドシェア」は政争の道具となり、冷静な議論もないまま、あり得ないほど強引に推進されてきたのがこれまでの経緯です。
 一方で、「タクシー不足」の指摘に対しては前例のないスピードで「日本型ライドシェア」を含む様々な対策が実施されました。これらの対策によって「移動困難」が解消されるのであれば、ライドシェア新法など全く必要ありません。
 しかし、解禁派はこれらの対策が実施された直後から、何の根拠もなく「これでは不十分」と断定し、「タクシー会社以外も参入できて、ドライバーを請負契約(ギグワーク)で働かせられるライドシェア新法をつく!」と主張。20246月に閣議決定される「骨太の方針2024」や「デジタル行財政改革の取りまとめ」「規制改革実施計画」などの政府方針で、「米国版ライドシェア完全解禁」への方針を盛り込もうと画策してきました。
 この動きに対しては、ハイタク業界労使のみならず、連合や交運労協など労働界全体、「交通の安全と労働を考える市民会議」などの市民団体、与野党の真っ当な見識を持った国会議員や自治体議員が猛然と反発しました。
 国土交通省の交通政策審議会・自動車部会も515日に「まずは、丁寧に十分な時間をかけて『移動の足』が充足されたかを検証する必要がある。」との考え方をまとめ、仮に新たな制度を検討する場合にも「安全性や輸送の責任、労働条件の悪化、渋滞や環境への影響、タクシーとの公平な競争条件、諸外国のライドシェアで浮き彫りになった課題」を踏まえた議論が必要との見解を示しました。
 国土交通省の斉藤大臣は、527日にライドシェア解禁を求める河野デジタル大臣(規制改革担当大
臣)と直談判。また、530日には岸田首相も交えた三者の協議が行われました。その結果「すでに実施した対策の効果検証と同時並行で、法制度も含めた議論は行っていくが、その結論について期限は定めない。」という合意が確認されました。内容は玉虫色の妥協案とも言われますが、政治力を駆使して一気に法制化を狙っていた解禁派を一歩押し戻したものと評価できます。530日には、内閣府と国交省の連盟で「ライドシェア事業に係る法制度についての論点整理」と題した文書が発表され、6月の政府の閣議決定にもこの論点整理が反映されました。ただし解禁派がこれで引き下がることはないでしょう。63日には、アメリカUber本社CEOが来日し、河野大臣と面会。また自民党の茂木幹事長が突然、ライドシェア解禁論をメディアで主張するなど、お得意の情報操作・印象操作で盤面をひっくり返そうとする動きが再び始まっています。

《ライドシェア解禁派の主張する「新法」の概要》
「タクシー事業者以外の者によるライドシェアに係る法制度に関する規制改革推進会議意見」より

@ライドシェア業を創設し、様々な企業の参入を可能とするべきだ
Aドライバーを確保するため、好きな時間に自由に働ける働き方(雇用契約ではなく、請負・業務委託契
約)を認めるべきだ
Bドライバーの運行管理を対面で行うのはアナログ。デジタル技術を活用してアプリなどで遠隔で運行管理する方が優れている。
Cライドシェア業については、台数や地域、時期、時間帯に制限を設けるべきではなく、全国的に運行を認めるべきだ(別の文書では運賃の完全自由化も主張)
D来年の通常国会での法案提出を視野に、年末ただちに法案化作業を開始すべきだ

 このようにライドシェア解禁派の主張には、我々が日々守ってきた公共輸送機関としての安全・安心、労働者保護の観点はまったく盛り込まれておらず、道路運送法で禁止されている白タクを「規制緩和」や「働き方改革」の掛け声のもと、合法化せよという無責任極まりないものです。
 これまで、世界中で展開するライドシェアや食事配送業を経営するプラットフォーマーは、働く人を個人事業主扱いにして労働者の権利を認めず(ギグワーク)搾取によって利益をあげてきました。これに対しEU(欧州連合)は「プラットフォーム労働者指令」という新たな法律を制定し、ギグワーカーに労働者の権利を認め「個人事業主」だと主張する場合はプラットフォーマーに証明責任を負わせるという内容です。無権利労働を前提としたビジネスモデルの見直しとして高く評価できる動きです。既に欧米では、ライドシェア運転手は従業員(労働者)との判断が広がっています。
 白タクの合法化は、自らの利益だけを追求するプラットフォーマーが、ドライバーを使い捨てにし、雇用と安全・安心を破壊して公共交通を崩壊させます。利用者の安全・安心も、移動困難者解決も我々が使命と矜持を持って担い、この戦いを勝ち抜かなければなりません。


国内情勢と政治
歴史的な円安が国民を苦しめています。その原因は、海外と日本の中央銀行の金利差にありますが、アベノミクスによるマイナス金利という異常な政策を長年続けてきたことから日銀は利上げすることも難しく、円安の解消に見通しが立ちません。円安は一部の輸出企業などを潤す一方で、一般消費者には打撃しかなく、さらには「安い日本」に押し寄せる海外観光客によるオーバーツーリズム問題や、日本人の若者の海外への出稼ぎなど様々な問題を生んでいます。企業と金持ちだけが潤い、一般消費者が苦しむ状況はアベノミクスの負の遺産であり、自民党政権がもたらしたものにほかなりません。
 その自民党では、派閥による裏金づくりや実質的脱税の問題が明らかとなり、国民の激しい怒りを買っています。身内だけに甘く、日本の社会・経済をダメにしてきた自民党には、政権担当能力がないのは明らかです。
 国民ひとりひとりが怒りを投票によって示し、今こそ政権交代を実現すべき時です!
全自交が支持する立憲民主党には野党タクシー議連に所属し、タクシー労働者の声を国会に届け続けてくれる議員が多数所属しています。5月の衆院補選で3連勝するなど野党第一党としての存在感を高めており、さらに政権担当能力を示して支持率を向上させ政権を奪取することに期待したい。
 今年の元旦に発生した令和6年能登半島地震は、死者行方不明者248人、重軽傷1,313人、住宅被害123,556件という甚大な被害を石川県中心とした北陸地方にもたらしました。死者のご冥福をお祈りするとともに、一刻も早い復旧・復興が望まれますが、被災から8ヵ月が過ぎた今もなお、石川県内では約1,700の方が避難所生活を続け、全半壊した建物の公費解体完了は2%にとどまるなど被災地の苦しい状況が続いています。
 一方、本来被災地の復旧・復興に使われるべき資材や人員が、大阪湾に浮かぶゴミの埋め立て地の上で、わずか半年間で解体する建物を造るために浪費されています。大阪万博のためです。万博を巡っては、費用の増加やメタンガスによる爆発事故、各国の撤退など問題だらけであり、さらにはライドシェア導入論に利用されるなど、百害あって一利なしの状況ですが、維新の会の面子とカジノ業者への利益誘導のため強行されようとしています。このような利益誘導政治を終わらせ、被災地のため、一般生活者のための社会を取り戻さなくてはなりません。 
 国政選挙が行われた際には、国民の命と暮らしを守るために働く議員を選ぶ権利を行使し、一票を投じ
ましょう!


政治課題への取り組みと連帯
 東洋交通労働組合は、全自交労連の一員として立憲主義に基づく民主政治を守り、全ての人が平和で安全に自由に生きることのできる社会を目指して、立憲民主党を支持します。働く者の声を代弁してくれる議員を国会や地方議員に送り出し、労働者の声を力強く国や自治体の政策に反映させるための活動に取り組みます。
 特に、政権交代の実現を強く目指します。腐敗した自民党政治に対する国民の激しい怒りを投票で示し、より良い政治をただちに実現させなければなりません。
 ハイヤー・タクシー労働者の抱える課題を解決し、賃金・労働条件の向上を実現するため全自交労連・交通労連ハイタク部会・私鉄総連ハイタク協議会で構成する「ハイタクフォーラム」を通じて「タクシー政策議員連盟」の活動を支援します。
 交運労協の一員として、交通運輸サービス産業で働く労働者の権利と社会的地位の向上に取り組みます。 連合に加盟し、全ての労働者との連帯・共闘を推進します。国際運輸労連(ITF)を通じて世界の交通運輸労働者と連帯します。「交通の安全と労働を考える市民会議」や「日本労働弁護団」等の諸団体の活動に協力し、ライドシェア阻止等、市民の安全と労働者の権利を守る運動を行います。


魅力ある産業へ!
 タクシー産業が魅力ある産業と評価されるには、タクシー乗務員の努力が目に見えて反映される賃金の特性を生かしつつ、最低でも他産業の平均といえる賃金・労働条件・福利厚生を充実させ、安定した生活を維持し安心して働ける産業に向上させるため、上部団体を通じて「制度・政策要求」を継続します。 女性や若者をはじめ、すべての労働者が働きやすい職場環境を整える取り組みが必要です。各種休暇・休業制度を利用しやすく工夫し、育児・介護・病気療養など特別な事情のある労働者が、仕事との両立ができるよう柔軟な対応を可能にし、不利益な取り扱いにならないよう制度を整える必要があります。 タクシー=長時間労働というイメージを払拭するために、法令を遵守することは当然として、労働時間・拘束時間を減らしても賃金減少に直結しないよう、労働生産性の向上に取り組む必要があります。 タクシー労働者の平均年齢は60歳前後で推移しています。高齢化にともなう健康リスクと並行し、若年層であっても長時間・深夜労働による健康への影響を鑑みて、年2回の健康診断で行う検査項目を充実させるだけでなく、利用者と労働者の安全・安心を担保するために日々の健康管理を徹底することが重要です。
 また、定年後、再雇用を希望する労働者で、健康基準・運転者適正診断基準を満たした上で正規雇用労働者と同一の労働をする者には、雇用形態に関わらず「同一労働=同一賃金」とし不当な差別的取り扱いがないよう取り組む必要があります。
 労働者の人権と心の健康を守るため、すべてのハラスメント根絶に取り組む必要があります。性的指向・性自認の違いを尊重してジェンダー平等を推進し、多様性を尊重して人種・国籍・出自・思想・信条など、すべての差別・偏見を職場から排除しなければなりません。「ハラスメント対策関連法」に基づきセクハラ・パワハラ・マタハラ等あらゆるハラスメント行為の防止と労働者を保護する措置を講ずる必要があります。 とりわけタクシー乗務においては、カスタマーハラスメント防止対策が重要課題です。逃げ場のない密室で乗客から受ける暴言や人格の否定は、強いストレスとなり心身の不調や離職の原因になっています。タクシー産業を、働き続けたい魅力ある産業に変えるには、悪質な乗客から乗務員を守る企業姿勢を示すことと、同時に法制度を整える取り組みが必要です。
 また、衛生的で安全・安心な職場環境を整え、施設・設備を改善する企業努力も必要です。事業場外労働であるタクシーの特性から、乗務中の休憩・トイレ・食事・仮眠などに気兼ねなく安心して利用できる施設やスペースを拡充することも必要です。タクシー事業者間・他産業・行政を巻き込んで協力を求める取り組みも必要です。 安定的に働き続けられるよう、オール歩合給のように売り上げが下がれば生活ができなくなるような不安定な賃金を見直し、少なくとも最低保証の基準となる固定部分をしっかりと設けた賃金制度を整える必要があります。
 タクシー業界には、まだまだ労働関係法令違反が横行しています。最低賃金違反・労働時間管理の不徹底・日報の改ざん・会社ぐるみの運賃違反など、雇用者としての義務も果たさない身勝手な悪質事業者の存在は、タクシー産業が魅力ある産業へと変わるための足枷となっており、撤退させることも重要です。
 タクシー産業が、働き続けたい魅力ある産業と認知されるには、タクシー乗務員自身の立ち振る舞いや行動も重要な評価基準です。ひとりの乗務員の行動が、善いことも悪いことも、「すべてのタクシー乗務員」の評価に繋がります。自分自身の行動が、タクシーの未来を左右するのだと自覚して行動することが重要です。タクシーは公共交通機関であり、飛行機の操縦士や電車・バスの運転士と立場は同じはずです。タクシー乗務員という職業を、尊敬される憧れの職業へと成長させましょう!


東洋交通における賃金・労働条件の闘い
 20249月現在、昨年80%前後であった実稼働率は、採用強化の甲斐もあり乗務員数は順調に増え、東洋交通では90%を超えています。日本交通グループをはじめとする大手タクシー会社に応募が集中する中、採用に資本投下ができない中小事業者も少なくなく、特別区・武三地区における運転者証交付数だけでみてもコロナ禍前から9,742人減らし、ようやく5,476人充足させたという状況です。実働率は70%前後にとどまり入社してすぐ退職に至るケースも相変わらず多く、いまだタクシー不足の解消には至っていません。
人材紹介会社経由での乗務員採用が増える中、新規乗務員の採用・養成にかかる費用も高額化しており、経営者にとっては大きな負担となっている上、既存の乗務員にとっては賃金・労働条件改善のための原資を奪われていると言えます。2023年の最優先課題は乗務員採用でしたが、魅力ある賃金・労働条件改善・手厚いフォローで、退職者を減らすことが今後の課題です。
 2024春闘では、月例給では労働分配率を維持し、賞与配分率改定でこれまで言い続けてきた「頑張った者が報われる賃金」へと一歩近づき、昨年を上回る労働組合への解決一時金「26,875,000円」を獲得しました。またシルバー乗務員雇用を新設し、これまでの最終雇用年齢を2歳上乗せし、70歳〜727出番5出番と雇用延長の機会を増やすことも実現しています。待望の男性浴室リニューアルも実現し、職場環境の整備も進んでいます。また、月例給・基本給の見直しも協議中です。
 東洋交通労働組合は、日本交通グループの一員となった際、「組合として労働者の品質にも責任を持つ」と明言しています。しかし現状は、経営との約束を果たしているとはいえません。東洋交通は、本体・直系子会社の中でも群を抜いて事故・苦情件数が多く、プロドライバーとしての品質向上は長年の課題です。接客・接遇についても昨年ようやくモニタリング順位においてトップ10圏内に返り咲いたのも束の間、20249月現在は12位とあと少しの努力が足りません。特に東洋は無線配車時の評価が悪く、日交を指定していただいている無線営業が1乗務中の7割を超えているにも関わらず、選んでいただいたお客様に対する接客・接遇の基準は、守られていないのも事実です。今一度、気を引き締めてやるべき事を実行し、一時金以外の成果を勝ち取れるよう一丸となり2025春闘に挑まなければなりません。いま組合員全員ができることは、まず事故件数を減らし、品質向上に取り組むことです。結果を出して初めて今以上の賃金・労働条件を実現できるものとし、組合員ひとりひとりが意識することが重要です。
 安全運行はプロドライバーの責務であり、桜にNの下、乗務員として品質の維持・向上に努めることは、社員としての義務です。ひとりひとりが務めを果たすことで東洋交通の評価が上がり、賃金・労働条件闘争を優位にすすめられます。
 執行部が交渉を重ねるだけが春闘ではありません。2025春闘を、組合員全員で闘いましょう!



「2025年度 東洋交通労働組合運動方針」

1.   公共交通としてのタクシーを守る制度・政策要求実現の闘い
 東洋交通労働組合は 「ライドシェア=白タク合法化」阻止をはじめとし 重要な社会インフラを担うタクシー労働者が 安心して働き続けられる制度・政策要求実現の為に、全自交労連の一員として全力を尽くします。
 制度・政策要求を前進させ、コロナ禍の最前線で エッセンシャルワーカーとして現場で働くタクシー労働者に必要な社会保障の実現・賃金・労働条件の改善と社会的地位の向上を目指します。

・感染症法の対象となる感染症流行時の感染防止策の徹底

・輸送の安全と労働者の権利を脅かすライドシェア導入と安易な自家用有償輸送拡大阻止
・タクシー・バスの輸送秩序を破壊する安価なデマンド交通導入の阻止
・タクシーの適正需要に応じた適正台数の制限と適正運賃の実現
・利用者の混乱をまねく恐れのある変動制運賃(ダイナミックプライシング)導入阻止
・エッセンシャルワーカーとして働くハイタク労働者の直接支援
・法令違反の一掃と悪質事業者の排除
・改正タクシー特措法運用の見直し
その他情勢変化に応じて必要とする制度・政策要求の実現を目指します。
制度・政策要求を実現する為には、世論に訴え理解を得る活動を強化することが必要です。その第一として 「公共交通機関としてのタクシー」の安全性・利便性を利用者と社会に理解してもらう事であり 組合員・すべてのタクシー乗務員が現場で体現することが重要です。 第二は 「ライドシェア=白タク合法化」の危険性を社会に訴え理解してもらう活動です。雇用と労働者の権利破壊・国民の安全な移動の権利破壊を許さない為に、ライドシェア導入絶対阻止の運動を強化します。
 制度・政策要求を実現する為には 国会や地方議員で「タクシー労働者の賃金・労働条件改善」と「公共交通機関としてのタクシーを守る」運動に協力する議員を増やす必要があります。私たちの制度・政策要求に理解を示す議員の選挙運動にも力を尽くします。
 労働者と国民生活を守る為に、現行憲法の「平和主義・国民主義・基本的人権」を守る運動、労働基本権を守り労働法制の改悪を許さない運動、憲法違反の「戦争法」「共謀法」の廃止を求める運動、原子力発電所の廃炉を求める運動を行います。


.東洋交通における賃金・労働条件改善の要求と闘い
 運賃改定の値上げ効果と乗務員不足、稼働不足が重なり 2024年はコロナ禍の減収を補えた1年であったと言えます。長期間にわたり協議を重ねてきた賞与配分の見直しが実現し、4月支給分からこれまで目指してきた「頑張った者が報われる賃金」へ一歩近づくことができました。現在、都内乗務員数は回復傾向にあり、稼働台数も増加しているが日本交通グループでは、無線配車回数は順調に増加しており、減収傾向は見られません。稼働台数の増加による影響は、昨年1年と比較して数字上ではさほど感じられないが油断は禁物である。
 労働者と事業者にとって、物価高騰と公的保険料・税の負担増は深刻な問題です。東洋交通では、今回の運賃改定時にはこれまでの労働分配率を維持できたものの、今後行われる運賃改定時、あるいは賃金見直しの際には慎重に協議し、適正に労働者の賃金を確保することが重要です。
 タクシー乗務員の賃金は、一般的には歩合給が大部分を占めていることから 売上が上がれば手取りが増えるのは当然の結果であり、コロナ禍で営収が見込めなかった当時は、オール歩合給の危うさと、労働時間(ハンドル時間)で支払われる賃金のありがたさを実感しました。よって、基本部分の底上げは重要な課題です。
 東洋交通では30年以上前から基本給だけで東京都の最低賃金を上回る協定を締結し、組合は日交資本となってからもそれを守り続けてきました。 202410月には東京都の最低賃金が1,163円に引き上げられることが決定し、ついに基本給だけでは最低賃金を下回ることとなり 減らし続けてきた余裕部分は消失しました。
 現行、最低賃金法に定められた最低賃金の計算上では法令違反にはならないものの、本来あったはずの余裕部分については形を変えてでも取り戻し、賃金の底上げを実現する必要があります。乗務員を定着させ、新規採用にかかる経費を既存の乗務員の賃金・労働条件改善のために投資させるべきです。 公共交通機関を担う労働者に相応しい賃金・労働条件・職場環境を充実させ、離職者を減らすことも重要課題です。
 現在、202211月に行われた運賃改定による増収と稼働不足により、タクシー乗務員の賃金体系の特徴を活かし、実質賃金を引き上げていますが、2024春闘においても他産業に並ぶ賃上げに進んで取り組んだタクシー事業者は 全国でも見当たりません。
 コロナ禍で歩合給主体の賃金体系が、乗務員の生活を困窮させ大量離職をまねきました。結果、稼働台数不足により利用者利便が損なわれ、「ライドシェアを導入せよ」との推進派の声が勢いを増し、全面解禁を阻止する為の苦肉の策として、タクシー会社が管理責任を負う形で自家用車活用事業(日本版ライドシェア)を開始するなど、窮地に追い込まれています。
 ひとたび米国版ライドシェアが全面解禁されれば、国民の安全に移動する権利と事業者の権利も奪われ旅客運送業そのものが崩壊し 労働者の雇用と生活も守れなくなります。
 危険な白タク=ライドシェア合法化阻止の闘争は、公共交通機関としてのタクシーの存続を賭けた戦いです。この危機を乗り越えるために労使がそれぞれの立場で最善を尽くすことが重要です。
 また、乗務員不足解消がタクシー業界全体の喫緊の課題となっていますが、採用が進まず離職率が高い根本原因の分析に労使で取り組み、良化させなければタクシーが「魅力ある産業」へと躍進を遂げることはありません。「安心して働き続けたい東洋交通」を確立するために 乗務員の命と暮らしを守り、公共交通機関としての安全・安心輸送を担う労働に見合うよう、現行の賃金・労働条件を以下のように改善を要求します。

 2025年春闘要求
1)    月例賃金
@ 基本給のベースアップ
所定内賃金の時間単価を、有資格運転者に相応しい時給に引き上げる事。
A 能率給の「足切り」を、現行45000円から減額変更する事。
B 能率給の支給計算時に 残業1時間あたりの腰高に加算される金額を、現行4000から減額変更する事。 
C 通勤手当の上限を廃止し、実費支給する事。
D 日曜出勤手当を1,000円から増額する事。

2)    賞与
@ 営収配分の各ランクの配分率に、それぞれ5%上乗せする事。

3)   
福利厚生
@ 退職金制度の新設または企業年金保険掛け金の増額を行う事。

4)    労働補償
@ すべての定額運賃輸送は、通常輸送との差額を実営収に加算して賃金計算を行う事。
A 無線配車時の「空転補償」は、完全履行する事。
B 修理手当は1時間あたり800円、新車代替または車検時の待機時間の修理手当は1時間あたり1000円に増額する事。

5)    高速道路帰路料金の会社負担
@ 首都高速の帰路料金は、全額会社負担とする事。
A 外郭環状線の帰路料金は、全額会社負担とする事。
B 圏央道の帰路料金は、全額会社負担とする事。

6) 積立有給休暇制度の新設
@ 2年の消滅時効を迎えた未消化の有給休暇を、別に積み立て、病気療養・介護・自己啓発(タクシー乗務員の資質を高める)・ボランティア活動等の決められた目的に対して利用できる制度の新設。

7)指定感染症蔓延時の保障
@ 指定感染症蔓延時に、国や自治体からの休業要請なき場合の勤務には、 労働日毎の危険手当を支給する事。
A 会社が計画休業を決定した場合の賃金保障は、速やかに国の制度を利用して、暦日数の10割とする事。
B 社員が、就労制限・外出制限が適用となる濃厚接触者に指定された場合には、賃金保障を行う事。
C 指定感染症蔓延時に事業を継続する上で、社員の命を守る為の対策・予防の徹底をする事。


.組織強化と拡大の闘い
 コロナ禍の影響で多くの組合員が奪われ、在籍538名・499名まで落ち込んだ一昨年からは110名の仲間が増え、20249月現在の組合員数は、過去最高値の609名になり組織拡大を実現しました。この約5年の間、退職あるいは脱退をせずにコロナ禍の危機をともに乗り越え、東洋交通労働組合の活動を支えていただいた組合員のみなさまには感謝しかありませんし、組合員となり共に歩む決断をしていただいた新人乗務員のみなさまにも感謝いたします。
 とある業界紙によれば、現在稼げるタクシー乗務員への応募は増加傾向にあるが、労働組合の組織率は低下しているとされ、乗務員の採用は進んでいるが組合未加入者が増えているという実態があります。稼げている今さえ良ければいいと思う乗務員は、結局のところ稼げなくなれば業界を去るのでしょうが、一度弱体化した労働組合の再建は容易ではなく、その多くは消滅の一途を辿ることになります。労働組合の弱体化は、そこの労働者の権利を脅かし、それまでの賃金・労働条件も維持できない恐れがあります。現に労働組合のないタクシー会社では、運賃改定後に賃率を引き下げるなど 労使協議も行わずに一方的な改悪を実行した会社も多数存在しています。
 日本国憲法(第28条)に定められた労働三権は、1.団結権(労働組合を結成する権利) 2.団体交渉権(労働者が使用者と団体交渉する権利) 3.団体行動権(ストライキをする権利)であり、この三権を保障するため、労働組合法が定められています。
 使用者との間で「労働協約」を締結する権能が認められ、賃金・労働条件・就業規則の勝手な変更は法的に無効とされます。締結の権利はその会社の労働者の過半数を超える組合員で構成される労働組合が有し、労働組合のある会社でも 少数ではその権利はありません。
 東洋交通労働組合は 従業員の98%以上で構成され、労働組合としての権利を行使しています。特に日交資本になってからは、失いつつある東洋らしい文化を守りながら賃金・労働条件・職場環境改善の闘いを続けてきました。今後も、組織力・団結力の強化に努め、賃金・労働条件の向上に全力で取り組んでまいります。
 タクシー産業を「働き続けたい魅力ある産業」へ成長させるには、労使が協力して安心して働ける職場環境と労働条件を構築し、公共交通機関の一翼を担う労働に見合った賃金に改善することが重要課題です。良質な乗務員の確保と定着率を上げる為には、東洋交通社員が一丸となって闘う必要があります。東洋交通における賃金・労働条件を改善する力量を作る為にも、組合員の拡大・強化を図ります。また、東洋交通で働くすべての乗務員・職員・整備職員を組織化の対象とします。 タクシーの業務と労働組合の役割を理解させ、東洋交通に定着してもらい、組織力を強化するために常にTUNAGアプリを利用したタイムリーな発信と、機関紙で乗務員として働く上での疑問・不安の解消に努め、その他の相談事も随時受け付けます。フリー・ランダムシフトの新人が参加できるような開催日程を設定し、新人研修会及び明番集会を行います。


.法対活動について
 組合員からの相談により、交通違反・人身事故による免許停止・取り消し処分等の軽減を求める為、上申書・嘆願書を作成し、警察・公安委員会に提出し、弁明・弁護等必要な行動を行います。個人的な各種法律相談については、全自交東京地連が顧問契約を締結している法律事務所に「初め30分無料」で相談ができます。


.安全運行の取り組み
 労働組合は、事業者と協力して「公共交通機関としての安全・安心」を実現する責任があります。事故・違反を防止することにより、事業者は、コストを軽減でき、利益を増大させることで労働者の賃金・労働条件・職場環境改善の原資を生み出す事にも繋がります。多発している事故・違反を減少させるには 乗務員ひとりひとりの自覚を促す活動を強化する必要があります。会社教育は当然ですが、労働組合として今後も多様な方法を提案し、また協力し「安全・安心」の実現を図ります。


.文体活動について
 クラブの協力を求め、全自交東京地連と日交労の文体行事への参加 友誼組織との文化交流に積極
的に取り組みます。


.カンパ活動について
 2011年の東日本大震災以来の被災地・被災者支援から始まり、毎年各地で起こる災害で被災した全自交労連の仲間への支援カンパと 「白タク=ライドシェア合法化」を阻止する為の活動を行う「交通の安全と労働を考える市民会議」へのカンパ活動を実施してきました。 2021年と2022年は、全自交愛媛地本所属の駅前タクシー自主管理再建支援・福島沖地震で被災した宮城地本への支援・国際運輸労連に所属するウクライナの組合員への支援・連合東京が参加支援する コロナ禍で困窮する低所得者の子供に食事を提供するこども食堂への支援カンパ、2023年度はこども食堂への継続支援と連合東京要請による赤い羽根共同募金、秋田豪雨で被災した全自交労連の仲間への支援カンパを行いました。2024年は年頭から、「令和6年能登半島地震」により被災した全自交労連の仲間への支援をはじめ、「子ども・若者支援プラットフォーム(HOPE)」「連合・愛のカンパ」「赤い羽根共同募金」など、高齢者やひとり親家庭への支援を実施しています。「市民会議」の活動にはこれまで通り、ライドシェア合法化阻止の運動強化の重要性から、支援を継続します。
 労働組合の原則は、「助け合い・支えあい」です。可能な限り被害・被災した仲間への支援と、友誼団体の支援要請には協力し、我々の声を代弁し世論に訴える活動を行う「交通の安全と労働を考える市民会議」への支援カンパに取り組みます。ご理解、ご協力をお願いいたします。
  尚、コロナ禍の3年間は、個別にカンパの協力を求めずに春闘時に勝ち取った「解決金」からのみ支出し「組合員全員からのカンパ」として対応していますが、イベント等の再開により2023年度旗開きから、従来通りのカンパ活動と一時金支出のカンパを実施しています。
 2025春闘において「解決金」があった場合も、災害・被災支援・「交通の安全と労働を考える市民会議」活動支援に加えて、その他所属する上部団体等から正式な支援要請があった場合には、「解決金」の中から「東洋交通労働組合の組合員全員」の組織的カンパを行います。

 

 


東 洋 交 通 労 働 組 合

〒115-0051
東京都北区浮間5-4-51

TEL 03-5970-9304
FAX 03-3967-5989




関連リンク

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交通の安全と労働を考える市民会議